MとY

 
 
 
 
 
 

エスカレーター

 

Y: エスカレーターは片側を空けて歩けるようにするべきか、みんな止まるべきか。

M: 止まるべきじゃないの?

Y: どうして?

M: だって、黄色い線の内側にお乗りくださいって言ってるじゃない。

Y: 黄色い線の内側を歩けばいんじゃね?

M: 子供か。

Y: じゃあ、東京駅の通勤時間帯で、エスカレーターの右側に立ちはだかることができるか。

M: それはちょっと。

Y: KYをお手軽に楽しめるゾーン。

M: 殺意に近いと思うんだけど。

Y: まあ、僕も歩いちゃうんですけど、止まるのが正しいと思います。

M: 正しいと思うなら止まりなさいよ。

Y: 正しいと思うことを行なうかどうかは、また別のお話。自分の正しいと思うことが、他の人が正しいと思ってるかは分からない。

M: 確かに、立ち止まるのは悪と思っている人も、多数いるような気もする。

Y: 歩くグループには、2列とも歩けと思っている武闘派から、朝のラッシュ時だけ歩きたいと思っている穏健派まで、いろいろいる。

M: 朝のラッシュは、歩きたいとまでは思わないけど、並ぶのが嫌だからという感じかな。

Y: 気持ちの問題なので、それは止まるグループです。

M: 歩いてる人も、止まりたいと思ってる人はかなりいると思うよ。右レーンにいってしまったばかりに、歩かされてるおばあさんとか、かわいそう。

Y: リタイア組は時間はたっぷりあるんだから、そんな殺伐とした時間帯にいる方が悪い。

M: あんたはどうなのよ。

Y: 僕は歩くグループですよ。ガラガラのエスカレーターも歩いちゃうんで。

M: 意外ね。

Y: 自分のペースでたらたら歩くのがいいですね。

M: 左レーンを歩いていって、人がいたら止まるとかはやるかな。

Y: あと、エスカレータの長さで歩くかどうか決めてる。長いと体力的に上りきれないから止まるグループになる。

M: 老人か。

Y: 歩くグループの言い分は概ね、「急いでいるから」か「イライラするから」かと思います。

M: まあ、そんなとこだろうね。

Y: まず、ほとんどの場合で急いでいるから、というのは理由にならない。急がなければならない状況を作っている己が悪いケースが散見。

M: また自分を、棚のさらに上に上げてるよね。神棚くらいに。

Y: エスカレーターを歩かなくてもいいように、1本早い電車に乗るとかすればいいだけ。

M: でも、エスカレーター歩けてれば、さっき行った電車に乗れたのに、とか思うとくやしいんじゃない?

Y: 乗れたらラッキーだった、くらいの気持ちでいないから、エスカレーターを塞ぐ人間に当たろうとする。

M: この間、塞いでる人の下の段に蹴り入れてたの誰よ。

Y: イライラするから、っていうのも、理由としては最悪の部類。イライラするから他の人に歩いてほしい。暴君ですよ。

M: 急いでないのに、何となく走っちゃう人とかいるよね。

Y: 時間を1秒たりとも無駄にしたくない。時間の貧乏神に憑依されてる。

M: そういう人って、時間にセコい割には、大したことに時間使わないよね。あんたみたいに。

Y: あと「海外では歩くのが当たり前」と言ってのける海外派がいる。

M: 国際標準に合わせていくのは、必要なことじゃないの?

Y: じゃあ、なぜ、クリスマスは恋人と、などという、ローカルルールがまかり通っているのだ。

M: しつこいよ。止まるグループの言い分は?

Y: 止まるグループは、まず、歩く人は階段を使えっていう意識が根底にあるようです。

M: それは思うよ。

Y: 実際、エスカレーターを歩くことによって、利用時間を減らすことになる。そのためエスカレーターの効果も自ら減らしている。

M: 階段使うのと、そんなに変わらないよね。

Y: でも、逆に言うと、わずかでも効果が出るわけです。それを貧乏神は見逃せない。

M: 階段の段差の高さより、エスカレーターの高さが歩きやすいって人もいるね。あの、階段1.5段分の高さがしっくりくるとか。

Y: そもそもエスカレーターしか無いようなところまであるんで、一概に階段使えとは言えないかもね。

M: なんで、歩いてほしくないんだろう。

Y: 「危険だから」と「歩く人がいないのに片側空けてるのがおかしいから」

M: そんなに危険?

Y: 実際に事故はあるみたいだけど、自動車事故より少ないかもね。危険だからとか言うなら、自動車を無くしてほしい。

M: 左腕麻痺の人が右レーンの手すりを掴めないのは危ないかも。

Y: じゃあ、両腕麻痺の人が右レーンの手すりを掴めたら危なくないのか。ほんの一部が救われるようなルールを作っても仕方が無い。

M: 少しでも救われたらいいじゃない。

Y: コストがかからないなら、大いに救うべき。でも、エスカレーターを塞ぐことによって、コストがかかるよね。

M: どんな?

Y: 時間。他人の時間の消費はコストであり、その人が納得していなければ罪。

M: この会話時間は何なのよ。あんたを島流しにしていいんじゃないの?

Y: 止まるグループにもコスト意識はあって、歩く人がいないのに、右レーンを空けて、左レーンに長蛇の列を作ってるのは違和感を感じてる。

M: 確かに。

Y: こういう時は、颯爽と右レーンに行って、止まっちゃえばいいんですよ。後ろからさらに来られたら、もう歩くしかないけど。

M: なんか、横入りっぽくない?

Y: 感じは悪いけど、誰にも迷惑はかけてないよ。

M: 結局、止まるべきなの?空けるべきなの?

Y: メーカーや、設置している駅や店なんかは、エスカレーターは立ち止まるのが正しいと言ってるよね。

M: 黄色い線の内側にいないと、事故ってもウチの責任じゃないので、ってアナウンスしてるしね。

Y: だったら、歩けなくしてしまえば、諦めるのではなかろうか。

M: どうするのよ。

Y: 1段3mくらいにしたらどうだろう。

M: 危険だよ。

Y: あれほど注意してもつかまらない手すりに、みんなしがみつくよ。

M: どうして、そういう皮肉めいた言い方をするの?

Y: 歩く必要もないくらい、超高速なエスカレーターはどう?

M: 怖くて乗れないよ。

Y: 乗る時と降りる時だけ低速にすればいいよ。

M: はぁ? 仕組みおかしいよね?

Y: 乗り口と降り口に、従来スピードの動く歩道でもつけとけば、階段部は従来の2倍の速度でも乗り降りできるじゃない。

M: なんか微妙。

Y: これはいいね。組み合わせれば、どんどん速くできる。

M: なんか、とんでもないこと考えてない?

Y: 日本中に、動く歩道を敷こう。

M: 電車でいいじゃない。

Y: 電車なんか目じゃない。駅じゃなくてもどっからでも乗れるんですよ。

M: 真ん中から乗ったら危ないって。

Y: まず、100km/hレーンを用意します。

M: そんなに出るの?

Y: その横に、90km/hレーン、80km/hレーンと並べてく。

M: 何となく言いたいことは分かった。

Y: 端っこは10km/hレーンだから、これなら何とか乗れると思う。

M: で、どんどん速度の速いレーンに移っていくの?

Y: そうそう。完璧すぎる。

M: 駄目だこいつ。早くなんとかしないと。

Y: 特許とか出しておいた方がいいだろうか。

M: 園児でも考えついて、自分の中で見切りを付けてる発想だと思うけど。

Y: 出願して、特許収入もらって、僕の人生はエスカレーターですよ。

M: もうあんたは、エスカレーターに乗ってるじゃない。

Y: そうなの?

M: 下りの。

Y: おやすみ。

M: おやすみ。


  Share (facebook) Check LINEで送る
 
 
 
 
 
 
Profile
 

kashiwai

  • Facebook : Yu-ki Kashiwai
  • Line : y.kashiwai
  • mixi : kashiwai
  • Twitter : @kashiwai
  • Mail : y.kashiwai at gmail.com
  •  
     
     
     
     
     
    E-Book
     
    「MとY」電子書籍
    http://wepublish.jp/
     
     
     
     
     
     
    S.Link
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    Search in M&Y
     
     
     
     
     
     
     
    All
     
    全タイトルを表示
     
     
     
     
     
     
    Twitter etc
     
     
     
     
     
     
     
    Inspired