MとY

 
 
 
 
 
 

記憶

 

Y: 最近、もの忘れが激しい。

M: 都合の悪いことだけね。

Y: 今「バクマン。」で、主人公達が、記憶の売買ができるっていうネタを描いてるよね。

M: あんた、まだジャンプ読んでるの?

Y: 記憶の売買っていうのは、かなりいいよね。

M: そんなにいい?

Y: 記憶する手間が、お金で省けるんですよ。テスト前とかバカ売れ。

M: それって、どうやって売買するの?

Y: 頭にUSBのスロットを作る。

M: こわいよ。

Y: 最近の子はピアス感覚だよ。またUSBあけちゃったー、とか。

M: そんなにあけて、何につかうのよ。

Y: 扇風機とか?

M: うん。頭を冷やした方がいい。

Y: で、USBメモリで記憶のやりとりをする。脳の中がフォルダとファイル構成になってる。

M: その記憶はコピーは許されるの?

Y: 開発当初はコピーワンスだったんだけど、それだと不便なので、今はダビング10が採用されてて、それも見直し中。

M: 昔、世にも奇妙な物語で、記憶を売って思い出をなくしていくっていう話あったよね?

Y: 重要機密を脳内インストールして運ぶという映画もあった。
これ、キアヌ・リーヴスとビートたけしの共演。

M: そんなのあったっけ?

Y: 記憶ってホントに失いやすい。

M: フォルダとファイル構成だったら、記憶は無くならないよね。

Y: そこは忠実に再現。ランダムにファイルが消えていきます。

M: 記憶を買って脳内に入れても、忘れちゃうかもしれないじゃない。

Y: 一定ファイル数には、プロテクトをかけることができる。プロテクトをかけたものは、絶対に消えない。

M: 全てにプロテクトをかけたいんだけど。

Y: そうすると、今度は、新しいことを記憶できない。

M: 不便だよ。

Y: 人間の脳なんて、そんなもんです。人間の脳は10%も使われていない、とかよく聞くよね。

M: うん。

Y: あれ、デマらしい。もう、脳みそはいっぱいいっぱいですよ。限界なんてとっくにきてますよ。

M: どうして、夢も希望もないことばっかり吹き込むの?

Y: プロテクトをかける範囲をミスると「have」の過去分詞を忘れたり、ジャンプの黄金期のことを、いまだに覚えてたりする。

M: 黄金期っていつよ。

Y: 一般的には、発行部数最多の90年代前半を指すよね。「ドラゴンボール」「SLAM DUNK」「幽☆遊☆白書」で荒稼ぎ。

M: 一般的にも何も、そこが黄金期じゃないの?

Y: 人によって、黄金期の記憶は違うのですよ。僕の黄金期は、もう少し古い。

M: どんなのあったっけ?

Y: ペナルティエリアの外からペガサス流星拳。

M: なんで混ぜるのよ。

Y: きまぐれ アウター☆ゾーン

M: なにその、錯乱坊主が考えそうなネタは。

Y: こういう記憶も売れるかもしれない。

M: お金もらっても、いらない。

Y: 広告なんかは、人の記憶の上書き合いですよ。USB無しでも、直にファイルを上書いてくるから性質が悪い。

M: そんなことできるの?

Y: 耳から侵入。ソフマップなんかにいくと、脳内が「HELLO, SOFMAP WORLD」に大半が上書かれる。

M: やめて。今にも上書かれそう。

Y: ビートルズですら音楽で世界を平和にできなかったけど、ソフマップにはその力があると思う。

M: 一度、つぶれてるよね。

Y: no music, no life は、no sofmap, no life ですよ。

M: それだと、一度、死んじゃうよね。

Y: 本屋なんかもすたれて、記憶屋みたいのができる。「ドラゴンボール」全巻の記憶データとかが売ってる。

M: なんか、こう、いっぺんに脳に入ってきてもつまらないじゃない。本はページをめくっていくのがいいんじゃない。

Y: 記憶データにも趣き深いところがある。記憶データはスキャナで取り込んで作れない。必ずいったん誰かの記憶にしないとダメ。

M: どういう意味?

Y: ドラゴンボールの記憶データなら、誰か読んだ後の記憶ってこと。佐藤さんが読んだドラゴンボールとか、鈴木さんが読んだドラゴンボールとか。

M: 鈴木さんが物覚え悪かったら、ドラゴンボールが6個で神龍が出てきちゃったりするわけ?

Y: そうなるね。だから賢い人の記憶の方が売れる。

M: 賢い人は、ドラゴンボールなんて読んでないと思うよ。

Y: 山田さんの読んだものは良いとか、レビューまで出てくる。

M: この牛乳は山田さんの家で搾ったやつとか、そういうの?

Y: 女子高生の読んだ記憶シリーズとかがバカ売れ。

M: 記憶と女子高生は関係ないよね。

Y: 松潤の読んだドラゴンボールとか、買うよね?

M: それは買うね。

Y: メールとかも、記憶ファイルが添付できたりするようになる。文章書かずに、気持ちをファイルに込めるわけだ。

M: それはまずい。

Y: なんで?

M: 奥ゆかしき「本音と建前」の文化が崩壊してしまうよ。

Y: 全然、奥ゆかしくないし、むしろ浅はか。

M: 記憶ファイルがないと信用されない世の中になりそう。

Y: 選挙時に演説なんてしなくていいから、候補者の皆さんには、自分の記憶ファイルをアップロードしてもらうだけでいいよ。

M: 誰も立候補できなくなるよ。

Y: カレシに「記憶ファイルを見せて」って言われたらどうする?

M: 「私を信用してないの?」作戦でいいよね。

Y: その場合、寝込みを襲われる。

M: いやん。

Y: 寝ている間にUSBスロットから記憶をいただく。

M: 最悪。

Y: でも、頭の中が整理整頓されてないから、「新しいフォルダ(113)」とかになってて、キレる。

M: 失礼ね。

Y: 頭に来て、ヨドバシ→ビック→ソフマップの電気屋テーマが延々と流れるファイルを植えつけておく。しかもプロテクト。

M: そんなエレクトリカルパレードは嫌だ。

Y: 松岡修造の熱い説教を植えつけるのもいいね。

M: 寝込みを襲う目的が変わってきてるよね。

Y: 修造メッセージの記憶ファイルを、メールでバラまく愉快犯も出てくる。

M: ウイルス?

Y: 現在の地球温暖化の原因の一つと言われている。「頑張れ!頑張れ!出来る出来る!絶対出来る!頑張れ!もっとやれるって!!」

M: ウツな人とか、たぶん発狂するよ。

Y: 記憶ファイルのウイルスには、死んだ方がマシなくらい恥ずかしい経験の記憶ファイル、というのもある。

M: あんたは、そういう嫌がらせだけは次から次へと出てくるよね。

Y: ウィキペディアの更新時刻表示は世界標準時なのに、日本時間と勘違いして「犯行予告だ!」と新聞に載せた記者の記憶。

M: その記憶を植えつけられたら、自分がやったように感じることになるの?

Y: そう。恥ずかしくて、生きた心地がしなくなる。太鼓判を押した人物が、どんどん逮捕されていく占い師の記憶、ってのもあるよ。

M: もっと自分に自信のつくような記憶を散布したら、日本は活気付くんじゃないの?

Y: 実は、そのようなことは、もう試験的に行なわれている。犯罪を起こしそうな記憶を検知し、国にとって都合の良い記憶に上書いている。

M: あんたが真っ先に狙われるね。

Y: 最近、もの忘れが激しい。

M: おやすみ。

Y: おやすみ。

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