MとY

 
 
 
 
 
 

移動

 

Y: 日本の移動に無駄がある。

M: 何を言っているの?

Y: 僕が横浜から秋葉原に通勤している間に、秋葉原から横浜に行く人がいる。

M: それが?

Y: 何か、ものすごく無駄を感じるわけですよ。

M: その人にしかできない用事で移動するんだから、無駄じゃないと思うよ。

Y: 僕の用事は、誰でもできる。

M: いばって言うな。

Y: 例えば、お互いがサラリーマンであれば、もう職場変えてしまった方がいいと思うのですよ。

M: 秋葉原から横浜に向かう人と、横浜から秋葉原に向かうあんたのお互いの職場を変えればお互い楽になるってこと?

Y: そうそう。横浜希望、秋葉原駅前の職場です。イケメンがいっぱいです。みたいに掲示板でやり取り。

M: 大ウソつきじゃない。

Y: mixiの右上の派遣広告よりは信憑性があるよ。

M: でも、東京に向かう人と東京から出る人の人数比バランスは?東京から横浜に来る電車なんてスカスカでしょ?

Y: それでも、千葉から品川まで来ちゃう人とか、神奈川から東京まで行っちゃう人とか、無駄っぽい重複があるよね。

M: だからといって、職場を変えるっていうのは、無理がありすぎるよ。

Y: サラリーマンなんて、何でも一緒だって。取っ替えが利くのがウリなんだから。

M: それはウリじゃないよ。

Y: こう、お互いの位置を瞬間的に入れ替えるとか、できないもんですかね。

M: 映画とかマンガの世界だよ。

Y: 移動の究極は、イメージしたところにテレポーテーション。

M: 可能ならね。

Y: 機能的に最高なのは、どこでもドアだと思う。宇宙の地図を読み込ませれば、宇宙にまで行ける。

M: あれって、ノブを持った人の心を読み取るんだっけ?

Y: 「どこか広いところ」のようなアバウト要求でも、ちゃんとどっかに行けるし、「しずかちゃんの家」でお風呂に出るのは、のび太の気持ちの投影の定番。

M: そういうところは、アバウトにしてくれないのね。

Y: どこでもドアは機能的に完璧に近いんだけど、四次元ポケットとペアじゃないと使いにくい。

M: どうして?

Y: 誰かに破壊されたり盗難されたらアウト。ドアを持って歩く手段がないと、結局ドア付近にいるしかない。

M: ドラえもんならではの道具ってことね。

Y: お手軽なのは、悟空の瞬間移動。

M: どんなだっけ?

Y: 他の人の気を捉えることにより、その人のところに移動できるタイプ。

M: 場所というより人のいるところ、という制限がつくね。

Y: 道具がいらない分、使いにくい。誰かに走らせて、自分が後追いというのが基本ですね。

M: 新しいアッシーね。

Y: あとは、呪文や魔法の詠唱によるテレポーテーション。ゲームなんかで出てくる。これもお手軽。

M: MOTHERとか、助走してなかったっけ?

Y: エスパー魔美の仁丹テレポートとか、009の加速装置なんかもあるね。

M: 加速装置は、テレポートじゃないよね。

Y: ヤマトやトレックのワープ航法とか。

M: 規模が大きすぎるよ。

Y: 実用的なのは、呪文詠唱型と思う。

M: 実用できませんが。

Y: 日本で一番有名な瞬間移動呪文はルーラ。

M: コカインとかLSDとかじゃないの?

Y: そっちの瞬間移動は、今回扱わないので。

M: ルーラってドラクエだよね?

Y: このルーラは、一度行ったところに一瞬で行ける便利な呪文です。

M: ルーラ着地地点から、セーブポイントまで最短で行ける街を基地にしなかった?

Y: 僕は常に一番最初の街ですね。宿代が安いから。

M: フィクションなのにケチくさいね。

Y: ルーラの定義である、一度行ったところに行けるというのは厳密には違う。

M: どういうこと?

Y: 途中から魔法使いを仲間にして、その魔法使いがルーラを覚えたとする。

M: うん。

Y: すると、そいつが仲間になる前に行ったことのある街にも行ける。

M: 術者が行ったことのある街じゃなくていいってこと?

Y: 術者がその街をイメージして呪文を唱えるのかと思ったけど、どうも違う仕組みのようです。

M: 魔法使いなんだから、仲間の気持ちを読んだりするんじゃないの?

Y: そんなやつを仲間にはしない。

M: 別に移動できればなんでもいいじゃない。

Y: ルーラの着地地点が、同じ街では同じ地点になるということからも、何か目標となるものをマーキングしているのではないだろうか。

M: 犬のおしっこ?

Y: 液体はやめようよ。あ、固体もダメだ。魔力を持った石にルーン文字みたいのが刻まれてるのを残していくという線で。

M: コーンみたいのが残ってる?

Y: 頼むから、もうちょっと高尚な路線でお願いします。

M: 今まで一度も高尚な会話をした覚えはないけど。

Y: ルーン石はペアになっていて、片割を持ちながらルーラを唱えることにより、もう一つの片割に瞬間移動ができる、という仕組み。

M: それだと確かに、一度行ったところにしか行けないね。

Y: 片割を街のどこかに置いてきて、途中から仲間にした魔法使いには、片割を渡せば良いわけだ。

M: 理屈は通るね。

Y: この原理を、現代に適用したい。

M: 適用してください。

Y: 基本的には、2種類のルーン石を買って、会社と家に片割を置くという使い方。

M: 買うんだ。

Y: ただ、扱いはすごくデリケート。家はともかく、会社に置いてある方は、厳重に保管しておかないと危険。

M: どうして?

Y: 誰かに持ち出されて、東京湾とかに投げ込まれたらアウトですよ。自分がルーラ唱えたら、溺死。

M: どんだけ恨まれてるのよ。

Y: 最近では、GPS埋め込みルーン石というのも発売されてるね。

M: たった数秒で、現代に馴染ませないでよ。

Y: 問題は一度も行ったことのない場所。

M: 片割置けないね。

Y: 家族旅行なんかだと、第一歩はお父さんの役目なのでしょう。父親がディズニーランドまで一人でいって、石をどこかに置いくる。

M: なんか、涙ぐましい。

Y: 当然、これが商売にならないわけもなく、「ディズニーに置いたルーン石の片割」なんてのがヤフオクに出てくる。

M: 本当かどうか、確かめようがないじゃない。

Y: 現場の写真とかがアップされるけど、騙すやつが必ずいて、買ってみて使ってみたら海の底。

M: 殺人じゃない。

Y: 事態を重くみたディズニーは、来年早々、公式のルーン石を発売するそうです。ミッキー型でかわいい。

M: ありがち。

Y: ルーン石の小型化にも成功し、結婚指輪に埋め込まれたりする。

M: どうして?

Y: お互いのいるところに、すぐに移動できる。

M: 一見ステキだけど、とんでもない仕掛けね。

Y: いつ相手が飛んでくるか分からないので、迂闊な行動は不可能。

M: 飛んでいったら、海の底かもよ。

Y: 急いでもう一度ルーラを唱えたら、「くっ! ガッツが たりない!」

M: 消費するのはMPだよね。

Y: こんな時でも困らないように、結婚指輪が「いのりのゆびわ」になってる。

M: MP回復?

Y: いのりのゆびわは、使うと1/8の確率で壊れます。そして、こういう絶体絶命の時には確実に壊れる。

M: 溺死して、奥さんニンマリ。

Y: ルーラだめだ。危険すぎる。やっぱり地道に移動するのが一番かも。

M: きっと、横浜から秋葉原に通勤するのにも、何か意味があるんだよ。

Y: せいぜいDSでドラクエが進むくらいだよ。

M: ちなみに、もし通勤時間がゼロになったら、その分何するの?

Y: ドラクエかな。

M: 一度は高尚な会話をしてみたいものです。

Y: おやすみ。

M: おやすみ。

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